大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)112 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人堀耕作の上告理由について。

原判決挙示の証拠に照せば、「昭和二八年八月一四日上告人と被上告人との間に

上告人主張の和解契約の内容と同趣旨の契約案が作成せられたが、それは契約とし

て成立するに至らなかつた」旨の原審の事実認定は肯認することができ、また、第

一審における証人Dの第一、二回供述、証人E、被控訴人(上告人)本人の供述中

の認定に反する趣旨の部分を措信せず、他に右認定を動かすに足る証拠はないとす

る原審の証拠判断も首肯することができる。原判決の事実認定は所論掲記の証拠の

ほか他の証拠をも採用の上なされたものであり、また、所論掲記の甲一号証、第一

審証人Fの第二回供述をみても、原判決の「他に認定を動かすに足る証拠はない」

とした判断を違法ならしめるものではない。要するに、所論掲記の証拠によつても、

所論契約の成立を認めなければならないものとは解せられない。

仮に、所論のように話合の内容を書面に認めたこと、手打式があつて被上告会社

の重役がこれに参加したこと、仲介人が被上告会社に契約証書の交付を要請したこ

と、また被上告会社が県当局に円満話合をした旨報告したこと等の事実があつたと

しても、その故に必ずしも所論契約の成立を認定しなければならないものとは解さ

れず、原判示を通読すれば、上告人主張の話合に関しては所論のような決議を問題

とするまでもなく単に契約案のみが作成されたにすぎず、契約として成立した事実

は認められない趣旨を判示していることが明らかであり、挙示の証拠に照せば、右

判断は肯認しえないものではない。

さらに原判決は前記のように証拠判断を判示しており、証拠の判断を遺脱した形

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跡は認められないのみならず、これ以上証拠を措信しない理由その他の証拠説明を

加えないからといつて必ずしもこれをもつて違法としなければならないものではな

い。

以上によれば、原判決には所論の違法は見当らず、所論は結局原審のした証拠の

取捨、判断、事実認定を非難するに帰し、採用することができない。

所論引用の昭和五年四月一〇日大審院判決は事案を異にし本件に適切でない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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